2010年4月20日火曜日

フリーダムトレイルを終えて



フリーダムトレイルの旅を始める前に、地下鉄の駅で、バスと地下鉄乗り放題の1日券を購入した。せっかくお金を払ったのだから、元を取らなければと、この後は積極的にバスと地下鉄を乗るようにした。この頃はすでに6時半頃で、レッドソックスの試合を見に行くには、遅すぎることがわかっていた。しかし、ホテルに戻るには早すぎる。バスに乗ったはいいが、私たちはどこに行けば良いのかわからなかった。運転手に「どこに行くんだい?」と聞かれ、「さて、どこに行こうか」といった感じなのである。とりあえず、夫が気に入っていた「クインシーマーケット」に行くことにした。ここは、私たちが昼食を取った場所で、たくさんのレストランや店がある。ここで夕食を取り、ショップを見て回った。上の写真は、クインシーマーケットにあるラリー・バードというバスケットボールプレイヤーの足型らしい。有名なバスケットボールの選手であれば、超背が高く、靴のサイズも大きいはずだが、夫はほぼ同じサイズの靴をはいている。


クインシーマーケットを出て、さてどこに行こうかと思っていると、ボストン在住日本人女性のブログで見たガラスの塔が、突然目の前に現れた。これはアウシュビッツなど、ナチスが行ったユダヤ人強制収容所の犠牲者を追悼して建てられた記念碑ということだ。ブログで見ていなければ通り過ぎてしまっただろうが、夫の腕を引っ張り、中に入ってみることにした。このガラスは、薄く書かれた番号で埋められている。この番号は、収容所にいたユダヤ人の番号ということだ。名前ではなく、番号で識別されていたのだ。高い塔いっぱいに書かれた番号に、どれだけ多くの人々が犠牲になったのだろうと、想いを寄せずにはいられない。塔の中には、地下の通風孔なのか、生暖かい、不愉快な空気が吹き上げていた。これはきっと、ナチスが行ったガス殺を意味しているのだろう。それにしても、なぜボストンにこのような碑があるのだろう。ボストンには、ユダヤ系が多く住んでいるのだろうか。そういえば、フリーダムトレイルの途中で見つけた、ポテト飢饉のためアメリカに移住してきたアイルランド人の像も、なぜボストンにあるのか、私には不思議だった。ボストン人は、そういうことに寛大なのかもしれない。それとも、歴史をきちんと記録しなければならないという責任感からかもしれない。





このユダヤ人犠牲者の塔の前には、ボストンで最も古いレストラン「ユニオン・オイスター・ハウス」があった。私たちは既に夕食を食べた後であり、中には入らなかったが、たくさんの客で溢れていた。この後ふと、ホテルがあるケンブリッジに戻れば、ハーバード大学が見学できると思いつき、地下鉄に乗ってケンブリッジに帰ることにした。適当に歩いていると、ボストンの名が入ったTシャツを路上で売っている老人に出会い、紺色に緑で「ボストン」と書かれたTシャツを、5ドルで買った。夫は、私がこのTシャツを着るたびに、“Hey, Boston!"と言う。

ボストンで「T」とは、地下鉄の駅を意味するらしい。Tの看板を見つけ、駅の中に入るが、そこが何駅なのかわからなかった。駅に駅名が書かれていないとは、日本では考えられない。なんて気の利かない人が設計したのだろうかと思った。もしかしたらどこかに書かれていたのかもしれないが、私たちは見つけられなかった。駅名がわからなければ、どちらの方向の電車に乗ればいいのかもわからない。改札口にいたインフォメーションセンターの係員に聞いたら、「へイ・マーケット」と答えが返ってきた。なんだかあまり親切そうな人ではなかった。

ケンブリッジに着くと、辺りは既に暗くなっていた。ここに来て、クインシーマーケットに二度行かず、ここに直接くれば良かったと思った。ここケンブリッジだけでも一日過ごせるほど、たくさんの見所があるのだ。昔、私は日本の短大の同級生がケンブリッジに住んでいて、彼女の結婚式に参加するために、ケンブリッジに1週間ほど滞在したことがあった。その時にハーバード大学や周りのショップを見学したので、この辺りの様子は大体見当がついた。しかし、とっぷり日も暮れ、写真を撮るには暗すぎると思い、この後は写真を撮っていない。若者が溢れるケンブリッジの駅周辺をプラプラと歩いた後、ハーバード大学の中に入った。夫が「これだけで頭が良くなった気分がするね」と、かわいいことを言った。いかにも歴史がありそうなブロック造りの校舎に、昼間来ていれば写真が取れたのに、と残念であった。この後、バスに乗り、ホテルに向かった。バス停から降りて、前日借りた映画のビデオを返しに、スーパーに行った。そこのスーパーでは、1日1ドルで借りられるDVDのレンタル自動販売機「REDBOX」がある。私は、前々からこれがどんな仕組みなのか、興味があったのだが、要するに、クレジットカードで身元確認がされるのだ。この時見た映画は、「パッセンジャーズ」である。この後、飛行機に乗らなければならない私たちには、少々怖い映画であった。得に最後は、私には想像ができず、かなりショックを受けた。

この後、ホテルに戻り、やっとその日一日を終了する。フリーダムトレイルで一日歩き回り、疲れていたが、大変意義深い旅ができ、満足であった。

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