2010年4月5日月曜日

カンザスシティーからアムトラックで、「ゲートウェイアーチ」の街、セント・ルイスへ!



(ここからは、2009年6月8日から6月14日まで行なった、「セントルイス、シカゴ、ボストン、ニューヨーク」の旅の記録です。6月8日のセントルイス、6月9日のシカゴ、6月10日~11日のボストン、6月11日ニューヨークは、既にホームページの「ダービン家 地球を行く」に記載しており、まずこの記載済みをブログに移行し、その後、まだ書いていなかった6月12日、13日、14日のニューヨーク編を綴りたいと思います。)


2009年6月8日


もう少し早く予約を始めていれば、サウスウエストの安い航空券が手に入ったのに、相変わらず間際まで何もしない怠惰な私達は、いきなり飛び上がった航空券の値段に、しばし戸惑った。

「どうする?かなり高いけど...」

しかし、パスポート更新の申請をシカゴの日本領事館に出した私は、どうしてもシカゴに行かなければならない。せっかく会社の休みを取り、計画していた旅行を、キャンセルするわけにはいかないのだ。

「じゃあ、アムトラックは?電車だったら、もっと安いはず。」

インターネットで、アムトラックのホームページを開く。そのホームページには、カンザスシティーからシカゴまでの2通りの経路があった。夫は早速、値段の安い方を予約する。

「良かった。これで何とかシカゴまで行けるね。」

ほっとしたのも束の間、予約案内を良く見ると、それは「セント・ルイス経由」だった!しばし怒り心頭であった私だが、考え方を変え、「安いチケットで、更にセント・ルイスまで行ける!」と前向きに考えることにした。

当日、犬のボジョに長い「さよなら」を言い、迎えに来てくれた夫の叔母の車に、荷物を詰め込む。この叔母と夫の母に、交代でボジョの世話をみてもらう事にした。犬のデイケアーに預けることも考えたが、狭い檻の中に入れられることを考えたら、この方がボジョにとって良いと思ったからだ。

カンザスシティーのアムトラック駅は、ユニオンステーションの中にある。このユニオンステーションの中には、3Dの映画館やプラネタリューム等、色々なアトラクションがあり、何度か夫と来たことがあったが、アムトラックの駅がこの中にあるのは、今回まで知らなかった。それほど目立たない、小さな駅で、ユニオンステーションの片隅にあった。出発までには時間があったのでトイレに行き、帰ってくると、夫はアムトラックの会社に電話をし終えたばかりだった。この夏の間、誰かと一緒にミズーリ州をアムトラックで旅すると、二人目の運賃が半額になるのだ。予約をした時そのことを知らなかったので、アムトラックの事務所に直接電話をかけ、交渉の末、一人分を半額にしてもらった。何事も交渉が大切な国である。

時間には余裕があるつもりが、いつの間にか人が集まり、まだチェックインをしていなかった私達は、カウンター前の長い列に加わる。そして他の客の話から、私達が予約しそこなったシカゴへの直行便は、なんと6時間遅れであることがわかった。シカゴ行きの電車に乗れず、遠回りをし、丸一日かけてシカゴまで行くチケットを手にした私達は、それがラッキーであったことに、感謝した。6時間遅れであれば、セント・ルイス経由の私達の電車の方が、早くシカゴに着く。

アメリカ中西部の人たちは、日常生活で公共の交通手段を使わない。どこに行くにも、車を使うのが普通なのである。中西部に住んでいながらも、留学生活の大半を車無しで過ごした私は、バスに乗る機会はあったが、電車に乗ることは無かった。なので、今回アムトラックに乗るのは、私にとっても初めての体験であった。私と一緒に日本に行った時、その途中のサンフランシスコで初めて電車に乗った夫も、もちろんアムトラック初体験である。日本の生活からは考えられないかもしれないが、「電車に今まで乗ったことが無い」というアメリカ人は多いはずだ。ちなみに、「今まで海を見たことが無い」というアメリカ人も、中西部には多い。



セント・ルイス行きの電車は、少々古びて見えた。日本の地方の急行列車といった風情だ。前日ほとんど眠ることなく、朝早く起きたため、疲れていた私達は、電車の中でうとうとしながらも、私が作ったおにぎりや鶏のから揚げを食べたり、窓の外から見える駅舎の写真を撮ったりした。カンザスシティーはミズーリ州の西端に位置し、カンザス州との州境に接する。対するセント・ルイスはミズーリ州の東の州境にあるのである。なのでカンザスシティー発、セント・ルイス行きの電車は、ミズーリ州を西から東に向かって旅することになる。このような旅を今までしたことが無かった私は、窓の外の風景が興味深いと思った。古き良きアメリカの風情を残した小さな町が、点在しているようだ。アムトラックの駅舎も、レンガ造りの物が多い。そして、電車は森の中を突っ切って走る。私のアメリカ中西部のイメージは、トウモロコシ畑が広々と広がる農耕地帯といった感じだが、アムトラックの線路脇は、農耕地帯ではない。どちらかと言えば、低い山の中なのである。そして時折、川が見える。川の脇を走ることもあれば、いつの間にか、川にかかった橋を渡ることもある。きっとその大きな川は、長く蛇行しながら、アメリカの大地を走っているのだろう。



5時間以上かけて、列車はセント・ルイスに到着した。大きな荷物を抱えながら、駅の待合室でおにぎりと鶏のから揚げを、更にほうばる。待合室の横には、「ピザハット」などのファーストフード店があったが、おにぎりとから揚げのお弁当の方が、数段いいに決まっている。私のアメリカ人の夫は、日本食が大好きである。今回も「おいしい」と、喜んで食べてくれた。大変ありがたい存在である。

このアムトラックの事務所では一人3ドル支払えば、荷物を預かってくれる。私達二人分の荷物を強引に一つに結びつけ、3ドルで私達は身軽になった。次のシカゴ行きの列車まで2時間ほどの時間があったので、セントルイス観光に出かける。駅を出ると、強い夏の日差しが降り注いでいた。この中を歩くのはかなり疲れそうであるが、地図によれば、アムトラック駅からお目当ての「ゲートウェイ・アーチ」までは、それほど遠くないはずだ。「バスに乗ろう」と言う夫を説き伏せて、私達はアーチに向けて歩き出した。途中、地元の人に道を聞きながらも、さほど迷うことなく、ゲートウェイ・アーチが見えてくる。ゲートウェイ・アーチとは、上の写真の中央にある、大きなアーチの形をしたモニュメントだ。何でもアメリカ開拓時代、セント・ルイスは西への玄関口だったらしく、このアーチはそれを記念してのことらしい。かなり昔の話(たぶん15年ほど前)であるが、私はネブラスカ州からセント・ルイスに来た時に、このアーチに登っている。中は、確かエレベーターで昇ることができ、風や人間の動きによって、アーチが揺れたのを覚えている。この辺りに来て初めて、「今回はとてもお得な旅をしている」と感じるようになる。来る予定の無かったセント・ルイスに立ち寄り、列車の間にすごく簡単ではあるが、市内観光までやってのけた。今回の旅の表紙の、アムトラックを背景にした夫の写真も、「ダービン家、地球を行く」のカメラを担いでいる夫の写真も、私がセントルイスで撮ったものである。いかにも、夏の旅行といった雰囲気なので、私個人としては、大変気に入っている。



セントルイスは、やたらと大きな彫刻の像が多いと思った。上の写真も誰かは知らないが、市役所の前に立っていた。なので、この市の建設に関係のある人なのだろう。この市役所も、ゴシック建築といった感じで、なかなかの趣向。カンザスシティーに比べれば、ずいぶん都会で、おしゃれな雰囲気である。セント・ルイスと言えば、「ルート66」の出発地でもあったと思う。(後で気付きましたが、ルート66の出発点は、シカゴです。)私の会社の同僚が、セントルイスを出発点にし、ルート66を通って、西海岸までドライブした。ドイツ人の彼女は、毎年夏になると、両親がドイツからやって来て、このようにアメリカドライブ旅行に出かける。私もいつか、ルート66のドライブ旅行に出かけたいものである。













しばらくすると、右方面に野球場があるのを発見する。確か「ブッシュ・スタジアム」とかいったと思う。大通りを歩いていると、この日の野球の試合のチケットを売ろうとするダフ屋が、やたらと声をかけてきた。「安いから、どう?」というが、安かろうが、私達には野球の試合を見ている時間など、到底ない。しかし、記念にしっかり写真は撮っておいた。「カメラを持つ夫の写真」も、この球場をビデオに映している夫を私が取ったものである。

時間が気になり、最終的にアーチがある公園まで到達することはできなかったが、電車の間の短い時間に、色々見れて、有意義なセント・ルイス観光であった。この後、アムトラック駅に戻り、シカゴを目指す。シカゴに着いたのは、夜遅かったので、この後の写真が、翌日まで無い。なので、ホテル到着までは、次回のシカゴ編に入れようと思う。

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