2012年9月22日土曜日

アーカンソー州バッファロー・ナショナル・リバーへの旅2/インディアン・ロックハウス・トレイルをハイキング!



 バッファロー・ナショナル・リバー付近には、美しいトレイルが沢山ある。その中で私が最も興味を持ったのが、この「インディアン・ロックハウス・トレイル」である。幸いな事に、このトレイルは私達が滞在したバッファロー・ポイント近くにあり、最初のアクティビティーは、このトレイルをハイキングすることにした。


 その前に、パークレンジャーオフィスに寄って、情報を収集することにした。この後にカヌーもしたいと思っていたのだが、実際どの業者に頼めば良いのか、わからなかったのだ。私達に対応してくれたパークレンジャーは、とても親切に川の水の高さとか、天気予報等、地元の情報を教えてくれた。そこで彼に頼んで、事務所前で写真を撮ってもらった。



 実際のハイキング前にもう一軒、Wild Bill's Outfitter (http://www.wildbillsoutfitter.com/index.htm) という店に寄っている。ここで私達はハイキング用にそれぞれ新しい帽子を購入した。この店のオーナーは、キャビン経営とカヌーの運搬業もやっている。この地元では便利な店で、最低限必要な物は、ここで間に合いそうだった。ここで「バーベキューサンドイッチがある」と言われた夫は、もちろんその申し出を断ること無く、外のテーブルで食べることにした。

 ハイキング入口に到着し、やっとハイキング開始!と思いきや、なんと反対方向に進んでしまい、違うトレイルを歩いていた私達。それはそれで美しかったのだが、そこは私が行きたかった「インディアン・ロックハウス」ではない。歩いているうちに、またまた道を間違え、気付けば「パークレンジャー事務所」が見えるではないか!ああ、なんという時間のロス。がっくりだったが気を取り直して、またハイキング入口に戻り、今度は本道、「インディアン・ロックハウス・トレイル」にやっと入った。トレイルをグングン下に下りていく。下りるということは、帰って来るときに「上らなければならない」んだなあと思いながら歩いていた。最初の目印は、「Sinkhole Icebox」という穴だ。私達が訪れた時は、例年にない異常な水不足の時期で、この穴は乾いていた。特に興味も無く、次のスポットに移る。



 そこは、上の写真の「滝」だった。しかし、ここも水が殆ど無い!岩の上から、ポタポタ水が滴り落ちるという感じだ。それでも水があったことに感謝した。パークレンジャーは、「多分、滝に水は無いでしょう」と言っていたからだ。




 夫がどう思っていたか知らないが、このハイキング、結構良い運動である。景色は美しいが、上り下りが多い。




 滝からしばらく歩くと、「見捨てられた坑道」という穴がある。1880年代に亜鉛が発見され、この地方の人々は、一攫千金を狙い自分達の土地を掘り出したそうだ。しかし大抵は途中で諦め、このような見捨てられた坑道が残されたと言うわけだ。しかしここから八マイル下流の「ラッシュ」には、大規模な採掘会社が一日に二百トンもの亜鉛を掘り出していたという事である。

 「見捨てられた坑道」からしばらく、トレイル右側に「パンサー・クリーク」という、石がゴロゴロある場所を通る。多分、水がある季節ならここは小川になっているのだろうが、今年は異常な水不足で、ここには水が全く無かった。



 ここを通り過ぎると「小さな洞窟」が出てくるのだが、ここでなんと、他のハイカー達に出会った。ハイキングを始めてから人に出会ったのは初めてだったので驚いた。アーカンソー州のどこかの街からやって来た夫婦で、身体が少々麻痺している妻は、杖をついていた。健常者でも結構きついハイキングコースなのに、こんな所に歩いてやってくるとは驚いた。私達よりも早くスタートした彼らは、大きな岩があるこの場所で休憩していたが、夫の方が言うには、この「小さな洞窟」を最終目的地の「インディアン・ロックハウス」と勘違いしていたようだ。そこで私が、「いやいや、これは『小さな洞窟』で、『インディアン・ロックハウス』はもっと奥にあって、これよりも遥かに大きいはずだ」と言った。そして私がインターネットからコピーした地図を取り出して説明すると、彼はパークレンジャー事務所で貰った彼の地図と見比べて、「君の地図の方が詳しく描いてある」と言った。私は旅行を始める前にYouTubeのビデオ (http://www.youtube.com/watch?v=k737X0tlT2o) を見ており、「インディアン・ロックハウス」がどんなものであるか、ある程度知っていた。だからすぐここが最終目的地では無い事がわかったが、知らなかったらこれでお終いと勘違いしたかもしれない。こういったトレイルでは、周りに助けてくれる人が居ない為、ある程度の予備知識を持って出発した方が良いと思った。この「小さな洞窟」でしばらく写真を撮り、この夫婦に別れを告げて、私達は出発した。


 「小さな洞窟」から少し行くと、分かれ道に出た。そこには道標があり、私達は「インディアン・ロックハウス」の方に歩いていった。その先には黒く固い道があり、私は「まあ、ここからはアスファルト舗装の道なのね」と思ったが、本当は巨大な黒い岩だった。この地方の土地質が「岩」なのだ。なのでトレイルはその岩の上を歩く事になる。横には小川になるべき溝があったが、水は全く無かった。大きな岩の上に寝転がった夫は、「写真を撮って」と私に頼んだ。


そこから少し歩いた所に、やっと「インディアン・ロックハウス」があった。ここは、元々ネイティブ・アメリカン達が住んでいた洞窟だ。巨大な岩に穴が開いていて、そこがシェルターになっている。ここなら住めると思った。雨を凌ぐ屋根はあるし、洞窟の奥からは水が流れる音がする、ということは、下に小川があり、水があるのだ。洞窟内部から外を見ると、緑が美しい。左の方には、針の目のような穴が開いた岩があった。



 小川に降りて行くには、かなり急な崖を降りなければならず、体力に自信の無い私は、そんな事にチャレンジしようとは、微塵も思わなかった。



 このインディアン・ロックハウスを出発し、元来た道を戻っている時、「小さな洞窟」で出会った夫婦に再会した。身体に障害がある妻も、夫に支えられながら歩いてやってくる。彼らが諦めずにやって来たことが嬉しかった。ここまで来たら、あのインディアン・ロックハウスは見るべきだ。「あともう少しだから、頑張って」とその夫婦を励まし、私達はあの「分かれ道」に向かった。

 ここからが、問題なのである。地図を見ると、ここから「右」に曲がらなければならない。しかし私が見たところ、その右側は、水があれば「小川」になる場所なのである。旱魃で今は水が無いが、水が多い季節なら、こんな所を歩けるはずが無い!と勝手にセオリーを作り上げた私は、夫の「でも道標には、こっちって書いてあるよ」という言葉を押し切って、前にある、あの巨大な黒いアスファルトのような道を歩き出したのだ。そっちの方が、よっぽど快適なトレイルに見えた。しかし登るに連れて、だんだん道らしく無くなってくる。これはやっぱり、あのクリークを通って行かなければならなかったんだと思った時は、かなり上り詰めた後で、また降りて方向転換する気にはなれなかった。なのでひたすらその道を上に歩き続けたのだが、私はかなり不安だった。こんな所で迷子になったら、誰も助けに来てくれない!生きて帰るには、自分の足でここから脱出するしかないのだ!かなりドラマチックな考え(例えば、映画で見たような山の中の遭難シーン)が、頭の中をチラチラする。一方で私の勘違いの被害者の夫は、意外と楽観的で、「大丈夫だよ。この上を登って行けば、最初のトレイル入口付近に着くはずだ」と言っている。彼の言葉だけを頼りにひたすら歩き続けるが、かれこれ三時間近く休み無く山道を歩き続けているのだ。私はかなり疲れていた。「あ~、休憩は必要!」と思った時、夫が「あ、あそこは最初の「Sinkhole Icebox」スポットだ!あそこからトレイルに戻れるよ!」と言うのである!見上げれば、見覚えのあるトレイルがあるではないか!ああ、やっとやっと、これで遭難しなくて済む!ありがたや~と思っていると、夫は「自分はずっと、どこにいるかわかっていたよ。最初に歩いたトレイルを見下ろして、右側を歩いていたんだよ」と言う。確かに地図で見ると、その通りだろう。しかし、私にはそれが見えなかった。夫が冷静で良かった。感謝である。

 先に車まで戻った夫が、私を見ている。もう、クタクタだった。あの足の悪い妻は、ここまで戻ってこれるのだろうか?明らかに帰り道の方が登りが多いので、かなりきつい。でもとにかく頑張ろう!と、自分の足で車まで戻った。「あ~!!」と叫びまくっていた。「現代文明に帰還!」とか、訳のわからない事を。車のクーラー!水!動く車!舗装された車道!「あ~~!!」である。こうして私の夫は、少々頭がイカレタ妻を車に乗せ、出発した。

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