2012年10月4日木曜日
アーカンソー州ユリカスプリングス1:ホテル到着
鍾乳洞と滝を見学し、私達はようやくユリカスプリングスに向け、出発した。ユリカスプリングスは、美しいビクトリア朝建造物が残る、アーカンソー州北西オザーク高地の町だ。19世紀に泉が発見され、お金持ちの保養地として開発されたようだ。最後の鍾乳洞があったオザーク国立森林から2時間くらいのドライブで着いた。町に着いて、まずしなければならない事は、ホテル探しだ。私達が運転して来たハイウェイ62の両脇には、ホテルが林立している。一通り、町の様子を見てからホテルを決めようと、ホテル地区を通り過ぎ、ダウンタウンまで行った。そこは沢山の観光客で溢れており、所々にB&Bらしき建物が見える。しかし「こういった観光地のB&Bは、べらぼうに高いのよ」という私の言葉で、最初に見たホテル地区に戻ることにした。
ホテルが林立する道路にあった「Motel 62 Highway」というホテルに入る事にする。なんだかネーミングが全国ホテルぽかったし(実際は違うのだが)、外観は清潔そうである。看板の下に「AARP」の文字があるところを見ると、老人向けの特別割引を設けているようだ。試しに入ってみると、一泊49ドルと言う事で、部屋を見学しても良いという。そこで鍵を渡された部屋に行ってみると、とても清潔で居心地良さそうだ。そこで「この部屋に決めよう!」とフロントに戻ると、マネージャー兼オーナーが、「たった20ドルプラスすれば、ジャグジー付き部屋が得られますよ」と、やたらとその部屋を勧め(多分、私達が夫婦であった為だろう)、また鍵を渡し、見に行って来いと言う。私個人としては、最初の49ドルの部屋で充分だったが、まあ、勧められたまま、見学に行く。
ドアを開けると、まずリビングルームがあった。基本的に私が最初に見た部屋と似ていたが、そこにベッドは無かった。そして奥にジャグジー風呂が見える。そして同じ部屋に、キングサイズベッドがあった。ベッドルームの中に風呂があるのか。なんだかその配置が、私には変だった。ベッドルームに湯気が立ち込めるのは、なんだか蒸し暑そうだ。それについ最近、テレビのニュースで、「ホテルの風呂には、ばい菌がいっぱい! 入るのは賢明じゃありません」と、どこかのドクターが言っていた。なので、そのジャグジー風呂に、浸かる気にはなれない。以上のような事を夫に述べ、「だから、私はあの49ドルの部屋で良いわ」と言った。それでまたフロントに戻り、「49ドルの部屋にする」と言い、やっと鍵を貰った。
その同じ受付カウンターで、町の情報が載っている地元の新聞やパンフレットを漁った。夫が宿泊手続きをしている横で、私はその地元情報誌をペラペラめくり、「ホテルゴーストツアー」を見つける。事前調査をあまりしなかったユリカスプリングスだが、「幽霊が出るホテル」がある事を、私は知っていた。そこでフロント係に、このゴーストツアーについて聞いてみると、「ああ、それは大変人気のあるツアーです。チケットはすぐ完売になってしまうので、早めに行った方が良いですよ」と言う。夫に聞くと、「行っても良いけど」と言うので、部屋に行って準備することにした。
バッファロー・ナショナル・リバーの州立公園内キャビンと違い、ここにはテレビもあるし、WiFiもある! 久しぶりにテレビが見られることが、嬉しかった。「ああ、現代テクノロジー」と、しみじみ。テレビには、私が見ていた「America's Got Talent」のフィナーレが映っていた。家に帰れば予約録画したものが見られるのだが、ついつい見てしまい、誰が優勝したのかわかってしまった。私が予想した人では無かったので、驚いた。
さて、「ゴーストツアー」だ。WiFi有りの環境は久しぶりで、喜んでコンピュータを繋げ、インターネットに乗る。このユリカスプリングスには、幽霊が出ることで有名なホテルが二軒あり、そのどちらもで、ゴーストツアーがあるという。しかし受付係が、「8時から」と言っていたのに、インターネットでは7時になっている。これでは、到底間に合いそうに無かったので、その夜のゴーストツアーを諦め、ホテルでゆっくりすることにした。フロントで貰った情報誌を読み漁り、翌日の朝、ガイド付きツアーに参加し、町の様子を良く知ってから、その後個人で巡ることにした。
さてさて、私はこの「幽霊の出るホテル」に、大変興味があった。それでその中の一つ「クレセントホテル」を調べてみると、ゴーストハンター達が最新の機械を導入して、幽霊をセンサーで感知させたテレビ番組が、YouTubeにあった。その短いビデオには、確かに男の人影がはっきりと映っていた。「クレセントホテル」は、「アメリカで最も呪われたホテル」と呼ばれているらしい。これは、ぜひとも行きたい!期待大である。しかし一方、夫は「え、そんな所には行きたくない」と、マジで怖がっているようだった。
その夜、たまたま心霊能力者と実際の調査をする元刑事によるテレビ番組を見た。番組の構成はこうだ。番組に、「我が家は幽霊が出る。一度調べて欲しい」という依頼が寄せられ、心霊能力者と元刑事がその家を訪れる。しかし、彼らは調査段階ではお互い話をせず、全く別行動で調査する。心霊能力者は、家に住み着いている幽霊達と話し、元刑事は町の図書館やいろいろな場所で実際に存在する書類や新聞を徹底的に分析し、その家に関する歴史を割り当てる。番組の最後で依頼者、心霊能力者、元刑事が一つのテーブルに着き、まず心霊能力者が、彼女が感じた事を述べる。すると、大きく頷く元刑事が、心霊能力者の証言が正しいことを証明する証拠を取り出すのだが、それは恐ろしいほど、正確なのだ。私は日本に居る時、心霊写真など、全く信じなかった。「そんなの、光の反射じゃないの」と、馬鹿にしていたほどだ。多分、私がテレビで見た写真は、きっと偽物だっただろうが、アメリカに来て、「サイキック」と呼ばれる人達が、実際に警察と一緒に働いて殺人事件を解決しているという事実を知り、「世の中には、本当に幽霊と話しができる人がいるんだ」と、彼らの能力を信じるようになった。これは宗教とかオカルトとか、そんなものでは無い。科学的にきちんと証明されているのだ。自分にその能力が無いからといって、他人の能力を否定はできないはずだ。
まあとにかく、その夜、「呪われた家」に関わる背景を探り当てる番組を、興味津々、「次は何?あ~、早く知りたい!」とコマーシャルの間も待てない私を見て、「そんなにゴーストに興味があるとは、知らなかった」と、信じられないような顔をしながら夫が言った。普段はホラー映画とか、ギャングスターの血みどろ残虐映画は平気で(喜んで)見るのに、なんでゴーストは怖いのよ~と、私は思った。こうして私の夜は、ゴースト漬けで更けていった。
朝になった。もちろん、私は幽霊に取り付かれているわけも無く、清々しい目覚めだ。前日、連泊することを決めておらず、「もしかしたら、他のホテルに行くかもしれない」と言っていた私達は、フロントに「もう一泊したい」旨を伝える必要があった。それで、朝食を取りに行ったついでに、昨日会ったマネージャーに、「今の部屋が大変気に入り、もう一泊したい」と言うと、嬉しそうな顔をして、「どうぞ、ご心配無く。ゆっくり寛いでください」と言ってくれた。このオーナー、とても良い人である。ホテルも清潔だし、値段も安いので、大いにお勧めだ。
Motel 62 Highway:
(http://www.theeurekaspringsmotel.com/)
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