2011年5月20日金曜日
タイムシェアのセミナーに、いよいよ参加!
三日目の朝、いよいよタイムシェアのセミナーに参加する時がやって来た!と書くと、大層仰々しく聞こえるが、私はタイムシェアに興味があった。自分自身が購入するというわけでは無く、「社会見学」感覚である。どれくらいセールス攻撃されるか、少々不安が無いでも無かったが、アメリカ社会をもっと見てみたいという好奇心の方が大きい。
夫は昔、ブランソンに住んでおり、ホテルのフロントで渡された、セミナー会場への地図も、理解しているようだった。なので安心してドライバーの夫に頼っていたが、道が意外に込んでおり、途中、GPSも利かない場所に入り込み、いつの間にか集合時間が迫っていた。だんだん焦ってきた夫は、道を間違えてしまい、「こんな所では無いだろう」と言うような場所に出る。引き返し、地図と道にあるサインを照らし合わせて、やっと集合場所の「ビッグ・シーダー・ワイルドネス・クラブ」の駐車場に着いた。慌ててエレベーターに乗り、三階に行く。エレベーターのドアが開き、中に入ると、意外とリラックスした雰囲気で、沢山の旅行客が、各々テーブルについて談笑していた。最初に受付カウンターらしき場所で名前を述べ、八時半にセミナーの予約を入れていると言うと、「少々お待ちください」と言い、コーヒーやジュース等の飲み物を、自由に取って良いということだった。
コーヒーを飲みながら、テーブルに着いた私達は、セールスマンがやって来るのを待った。「セミナー」というので、大きな教室のような部屋で、誰かがマイクを持って話すのを想像していたが、実際は個別にセールスマンと話しをするようだった。しばらくすると、四十代くらいの男性が、私達のテーブルにやって来た。周りの人達が、もう少し年配のセールスマンと話しているのと比べると、彼はずいぶん若い。客層によって、セールスマンを選ぶのかもしれないと思った。ブランソンに来る観光客の多くは、お年寄りである。彼らに比べれば若人の私達には、若めのセールスマンをあてがったのかもしれない。なかなか人の良さそうな感じだったので、私は少々ホッとした。
このセールスマンは、私達を二階の部屋に誘導した。三階は、アメリカ国立公園にあるロッジホテルのロビーといった雰囲気だったが、二階はもう少しビジネスオフィス風で、私達の着いたテーブルの横には、仕切り壁があった。そこでやっと本題に入る。まずこのセールスマンは、自己紹介をした。私はてっきり、彼はビッグ・シーダー・ロッジ(http://www.big-cedar.com/)の従業員か、バスプロの社員だと思っていたが、隣町スプリングフィールドに住む不動産業者ということだった。彼は、「他のセールスマンと違って、無駄な時間は過さず、要点から入る主義」で、この後、スプリングフィールドに帰らなければならないということだった。そして私達の職業、収入、休暇の過ごし方等を聞く。私達は正直に、正しい情報を彼に与え、これまでの旅行について語った。そしてセールスマンは、ビッグ・シーダー・ロッジの「タイムシェア」について語り出す。
「これは全てポイント制です。一年間に12,000ポイントが付き、三十年間所有できます。」
そして一枚の紙を取り出すと、
「現在の一ポイントの価格は、3ドル25セントです。」
ということは、12,000ポイント × 3.25ドルで、合計39,000ドルの物件が、私達の目の前で、語られていたのだ!少々高い旅行プランでも売られるのだろうと、覚悟はしていたが、これほど高い物だとは思わなかった。
「タイムシェアの良い所は、値段を固定できることです。このシステムが始まった頃の1ポイントの値段は1ドル代でした。でも今では3.25ドル。この先、物価はドンドン値上がりし、三十年後にはホテル代も、ガソリン代も、今からは考えられないくらい高騰しているでしょう。でもタイムシェアでは、一旦買ってしまえば、三十年間値段が上がりません。これは、あなたが所有しているからです。」
そして、用紙に書かれる計算部分が、ドンドン大きくなっていく。
「あなたがこれまで行った旅行で、ホテル代にいくら使いましたか?私達のタイムシェアでは、一週間の滞在で三千ポイント必要です。」
「つまり、一年間で四週間滞在できるというわけね。」
と私が言うと、
「そうです。その他にも、レンタカーや、クルーズにもポイントを使うことができます。クルーズは食事等が付くので、一週間で五千ポイント必要です。これを使いこなせば、世界中にあるホテルに泊まり、格安の旅行ができるというわけです。」
そして彼は、ホテル所在地がマークされた地図を私達に見せた。確かに契約を結んでいるホテルは世界中にあるようで、日本にも沢山のホテルがあった。
しかし、私達は一年間に四週間も旅行に行くようなライフスタイルを持っていない。大体、仕事をしていたら、どうして四週間も休暇が取れるかという話しだ。休暇大国フランスならまだしも、アメリカではそんなに休みが取れない。だからタイムシェアは、ヨーロッパで生まれたのだろうか。ブランソンが、タイムシェアのメッカになっているのが、分かる気がした。そんなライフスタイルが持てるのは、定年退職したお金持ちのお年寄りくらいだろう。ブランソンに来るお年寄り観光客は、彼らの絶好のターゲットというわけだ。
「もし、ポイントを全て使い切ることができなければ、翌年に繰り越すこともできるし、他の人に売却することもできます。6パーセントの手数料がかかりますが、私達はそのためのオンラインも設置しています。」
だから、心配することはありません、ということかもしれないが、しかしそれでも、私達にとっては、高額過ぎる。三万九千ドルという、今の私達がポンと衝動買いできる値段ではないのが、かえって良かったと思った。購入可能範囲内なら、「う〜ん、どうしよう」と迷うかもしれないが、これでは手も足も出ない。ブランソンの格安ホテルと、125ドルのギフトカードくらいで、三万九千ドルもの物件を買わなければならない義務は、無いはずだ。
一通りの説明が終わると、今度は部屋を実際に見せてくれるということだった。建物の外に出て、冷たい空気の中を歩く。ここで私は、このセールスマンに聞きたかった質問をした。
「ブラッド・ピットのお兄さんも、スプリングフィールドで不動産業者をしているって聞いたことがあるんですけど、ご存知ですか?」
すると、彼は大きく頷いて、
「もちろん、知ってますよ。彼は、高校が違うけど、世代が一緒だから、いろんな所で会いますよ。」
ということだ。あのブラッド・ピットは幼い頃、ミズーリ州スプリングフィールド
に家族と共に移り、スプリングフィールドの高校を卒業している。その後、ミズーリ州にある大学に進学した。大学は卒業しなかったそうだが、あれだけ有名俳優になれば、そんなことは関係無いのだろう。
「ブラッド・ピットの両親もまだスプリングフィールドに住んでいて、たまに里帰りしてますよ」と言う。えっ、ということは!
「ブラッド・ピットに会ったことありますか?」
「もちろん、何回も会ってますよ。」
え〜!こんな所で、ブラピの知人に出会うとは!そこで、
「今度、彼に会った時、よろしく言っといてくれますか?」
と言ったら、クスッと笑って、「伝えておきます」と約束(?)してくれた。昔、日本のテレビで、「ブラッド・ピットと友達になりたい!」というアイドルが、彼女の芸能人友達を伝い、ブラッド・ピットとメール友達になれるかどうか、というリアリティーショーをやっていたが、結局、「ブラッド・ピットは、メールをしません」という、正式回答を貰ったそうだ。そんな日本の芸能人達より、私はブラピに遥かに近い!と満足であった。
タイムシェアの見学用として準備されているのか、実際に利用客が泊まるホテルの部屋と同じ造りのものが、公開されていた。そこには、私達のようにタイムシェアのセミナーに参加した人達が、セールスマンに連れられて見学していた。ホテルの部屋は、どこも美しかった。さすがバスプロ系のホテルだけあり、アウトドア趣向がテーマなのか、山小屋風のデザインである。どの部屋も大きなキッチンがあり、そこには食器、冷蔵庫など、料理に必要な物は全て揃っている。ゲストルームがある部屋もあり、親戚一同引き連れて滞在というのも可能だ。特注のステンドグラスがはまった窓は、美しかった。ジャグジー付き風呂とか、とにかく豪勢である。こんな豪華なホテルに泊まれるのなら、タイムシェアも悪くないかも、という気にさせるのである。(部屋は、こんな感じhttp://www.big-cedar.com/Page/27/4/Private-One-Room-Cabin.aspx)
この後、また小部屋に移り、ついに最終決断の時がやって来た。セールスマンは、細かい値段の交渉に移る。このタイムシェアは、基本的に三万九千ドルだが、それに固定資産税と管理費を、毎年払わなければならない。ということは、実際に支払わなければならない金額は、もっと高いのだ。そして一括払いできない人達の為に、ローンがあるが、その利子というのが、16パーセントというのだ。これは異常に高い。そしたら最終的なお値段は、いくらになるというものだ。しかし、今回特別にポイントの値段が割引されるという。しかしそれでも、まだまだ私達には、高かった。夫は、「バケーションの為に、借金をする気は無い」とはっきり言った。はっきり断ってくれて、良かったと思った。確かに、家とか車ならローンを組んででも、買う必要があるかもしれないが、バケーションの為に、借金をする程、私達に余裕は無い。私達は年に何回か、旅行に出かけるが、いつも貧乏旅行である。このタイムシェアというのは、基本的にホテルだけの値段である。そこまでの交通費や、現地での食事代、観光代等を入れれば、一年で四週間のバケーションは、かなり高くなるはずだ。やはり、私達のライフスタイルには合わない。セールスマンも、「これは全ての人に合うわけでは、ありませんからね。」と諦めてくれた。
しかしこの後、彼の上司が、にこやかに最後の一押しにやって来た。ここでも、私達は、きっぱりと断った。その後、「お待ちかねのギフトカード」が貰える事務所に行くことになった。ここで最後の最後、一年で九百ドルというプランを見せてくれた。これは「所有」ではなく、お試しで一年間、限定されたホテルに泊まれるという物だった。ここまで値段が下がり、さすがの私達も、「う〜ん」と唸ったが、「今年は大学の授業も取らなきゃいけないから、旅行に行く時間は無い。」と、ここでも断った。人の良いセールスマンで、せっかくスプリングフィールドからやって来て、何の収穫も無かったのは申し訳なかったが、この後、バスプロ系のレストランやショップで利用できるギフトカードを、百ドル分貰った。
この最後の事務所を出てから、最初の三階のロビーに戻った。国立公園にあるロッジホテルのような雰囲気の、あのロビーを、どうしても写真に収めたかったのだ。三階に戻ると、最初の頃の人だかりは消え失せ、スタッフが数人居るだけだった。そこで、鹿の剥製の前や、ソファに座って写真を取った。
夫と二人で楽しげに写真を取っていると、どこからとも無く現れた男性が、私達二人の写真を取ってあげると申し出た。彼は、「外のポーチから写真を取ったらいかがですか?湖が見えますよ」と言ってくれたので、ドアを開けて、ポーチに出た。そこにはTable Rock Lakeが広がっていた。曇り空なのが残念だが、湖が見れただけで、感動した。親切なスタッフに、お礼を言った。タイムシェアのセミナーという、いかにもビジネスな時間にもかかわらず、ここでの思い出は、今回の旅行のハイライトの一つになった。
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