2011年12月19日月曜日

ミズーリ州インディペンデンスの旅1:The Vaile Mansion



 カンザスシティーのすぐ隣に、インディペンデンスという市があり、その歴史指定地区の一画に、「ベイルマンション」という、お城のような豪邸がある。クリスマスが近くなったこの季節、豪邸内は、近所のボランティアによってクリスマスツリーやライトが、特別に飾られるというので、クリスマス1週間前の日曜日、夫と一緒に、"The Vaile"を訪れた。


 この「ベイルマンション」は、Harvey Vaileという人が1881年に建てた、31部屋、9つの暖炉に水洗トイレをも所有するビクトリア様式の豪邸である。ベイル氏がこのような豪邸を建てられたのは、「Star Mail」というサンタフェまでの郵便システムを経営し、巨額の富を創り上げたからだろう。しかしベイル氏は、詐欺の疑いで訴えられ、それを苦にした彼の妻が、モルヒネを大量摂取し、自殺したという噂がある。こういう逸話があるアメリカの古い家は、「幽霊に取り付かれている」と必ず言われるものだが、この家も、3階に夫人の幽霊が出るという噂があるらしい。幽霊談が本当かどうかはわからないが、確かに3階は立ち入り禁止になっており、一般公開されていない。



 玄関を入ると、既に沢山の観光客がおり、入口で大人1人6ドルのチケットを2枚購入する。どうやら、ガイド付きのツアーがあるようだ。私と夫の他に15人ほどの観光客を連れて、そのツアーは開始された。天井は高く、最初に入った間に、大きなクリスマスツリーが堂々とあった。この豪邸の至る所にクリスマスツリーが飾られていて、クリスマス気分が盛り上がるというものだ。






家の中の豪華な家具にも目が行く。大きな鏡付きの大理石の暖炉など、これだけ大きな豪邸だからこそ映えるというものだ。



 下の写真の代物、何かおわかりだろうか?



 なんと、その当時の冷蔵庫なのである!上の真ん中にある穴に氷を入れ、内部を冷やしたらしい。この手の冷蔵庫は、結構長い間使われていたらしく、この後行った他の博物館にも、このような冷蔵庫があり、多分60代のノースダコタ州出身の男性ガイドが、「自分が生まれ育ったのは農園で、子供の時は、まだこのような冷蔵庫を使っていた」と証言していた。



 上の写真は、料理用のコンロ。英語で「キッチンストーブ」とか「クックストーブ」とコンロのことを言うが、確かにこの頃のコンロは、ストーブのような形をしていると思った。



 情熱的な赤に花の刺繍が美しい、19世紀の貴婦人のドレスである。これが、ベイル夫人のものなのかは、写真を撮るのに夢中で、あまり今回のガイドの話を聞いてい無かった私には、良くわからないのだが、それにしても、美しい衣装で、惚れ惚れしながら写真を撮った。袖の裾のレースは、その当時の流行だったのだと思う。2年前に行ったルイジアナのプランテーション「ローラ」の家族の一人、ローラの母が、このように、裾広がりのレースの衣装を着ている写真がある。スカートのプリーツが素敵だと、つくづく思う。



 高い天井の上から垂れ下がった長いピンクのカーテンが、お金持ちっぽく見えるこの部屋、窓を囲む枠や、長く垂れ下がったシャンデリアなどの、細かい彫刻や飾りが、重厚さを更に演出している。シャンデリアの下にある椅子、実は、このようにS字型に背もたれがくねられているのは、このように「仕切り」があるため、男女が隣合わせで座れるからである。19世紀には、男女が椅子に隣りあわせで座ることが出来なかったそうだ。しかし、この椅子では、直接触れる事がないので、唯一、男女が近づけるという、ちょっとスリリングな出会いの場といった感じだったらしい。



 ベイル夫人の寝室の天井に描かれたこの絵、私には中国人に見えるのだが、実は、巷では、この絵が裸であるようだとの噂が流れていたらしい。明らかに、それはとんでもないデマだったのだが、しかし確かに、なんとも艶めかしい女性の絵である。このベイルマンション、ベイル氏が無くなった後、貧しい老人が住む老人ホームになっていた時代があるらしいのだが、その時に住んでいた老人が、この絵があまりにも艶めかしいので、夜眠れないと訴えたそうである。それにしても、なんでこんな絵が、夫人のベッドの上に描かれていたのだろう。



 艶めかしいといえば、上の白い彫刻、1904年、セントルイスで行なわれた万博で出展されたそうだが、あまりにもセクシー過ぎるので、布が被せられたそうだ。この白い女性は、ベイル家に所属するものではないのだが、この豪邸に贈呈された物らしい。この人形、かなり大きくて、多分私より大きいくらいである。

 公開されている部屋をすべて見ると、最後に小さな土産物売り場で、ツアーは終了した。私はそこで絵葉書を買い、外に出た。玄関を出て、外を少々歩いていると、小さな女の子を連れた女性が、「一緒にいる写真を撮りましょうか?」と申し出てくれたので、玄関前で写真を撮ってもらった。



 この後、次の目的地に向けて出発した。

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